と荒物屋の店にその少女が居るのを見つけ、二人は急にその方へ歩度を早めた。
その時夏羽織の裾がまくれるところが描寫されてゐる。
それだけを切り離せば、運動の變化が現はれ、うまい描寫であるが、二人の若者が少女へ向けたと同時に讀者の頭も其方へ向くから、その時羽織の裾へ注意を呼びもどされると、頭がごたごたして愉快でなく、作者の技巧が見えすくやうで面白くないと、志賀氏は言ふのである。
と荒物屋の店にその少女が居るのを見つけ、二人は急にその方へ歩度を早めた。
その時夏羽織の裾がまくれるところが描寫されてゐる。
それだけを切り離せば、運動の變化が現はれ、うまい描寫であるが、二人の若者が少女へ向けたと同時に讀者の頭も其方へ向くから、その時羽織の裾へ注意を呼びもどされると、頭がごたごたして愉快でなく、作者の技巧が見えすくやうで面白くないと、志賀氏は言ふのである。