彼がその病氣と悔恨と衰弱との間に苦しく書き上げられた「點鬼簿」(大正十五年)を、その時期以前に書かれた「少年」(大正十三年)に比較して見よ。
「少年」の一章は、海岸でバケツの錆に似た代赭色の海を見てきてから繪本の海の色を青く塗らずに代赭色に彩つた少年を描いてゐる。
それに反し、「點鬼簿」中の少年は氣の狂つてゐた母の死の前にどうしても涙の出ないため泣く眞似をしてゐるのである。
彼がその病氣と悔恨と衰弱との間に苦しく書き上げられた「點鬼簿」(大正十五年)を、その時期以前に書かれた「少年」(大正十三年)に比較して見よ。
「少年」の一章は、海岸でバケツの錆に似た代赭色の海を見てきてから繪本の海の色を青く塗らずに代赭色に彩つた少年を描いてゐる。
それに反し、「點鬼簿」中の少年は氣の狂つてゐた母の死の前にどうしても涙の出ないため泣く眞似をしてゐるのである。