(齋藤茂吉氏宛の書翰)そして僕は當時、一年前に彼が僕に語つた事の――「僕は生活慾はすつかり失つてしまつたが、まだ制作慾は旺盛だね」と言つた事の、事實であるのをしみじみ感ぜずには居られなかつたものである。
さういふ死にもの狂ひの彼は、數多くの作品を、のみならず彼の一生涯中の眞の傑作を書き上げた。
その傑作といふのは第一に「玄鶴山房」(昭和二年一月)、第二に「河童」(昭和二年三月)、第三に「齒車」(昭和二年六月)である。
(齋藤茂吉氏宛の書翰)そして僕は當時、一年前に彼が僕に語つた事の――「僕は生活慾はすつかり失つてしまつたが、まだ制作慾は旺盛だね」と言つた事の、事實であるのをしみじみ感ぜずには居られなかつたものである。
さういふ死にもの狂ひの彼は、數多くの作品を、のみならず彼の一生涯中の眞の傑作を書き上げた。
その傑作といふのは第一に「玄鶴山房」(昭和二年一月)、第二に「河童」(昭和二年三月)、第三に「齒車」(昭和二年六月)である。