彼は多分君に何か一言ぐらゐは云ひつけるだらう、ほんのちよつと親しげな小さな合圖ぐらゐは君にするだらう、(それだけでも既に、口のうまい謬見の方へ始終引張られがちな人間どもの間に閉ぢこめられてゐる人間にとつては、大したことだけれど)……が、それは、彼の心を君に與へるとか、彼の忍耐づよい存在、彼をすこぶる星座に似させてゐるところのあの天體的なやさしい恆久性を、君に托することは、拒絶するだらう!
一事物が君に語るためには、君は或る一定の時間、それをこの世に存在してゐる唯一の事物として、獨自の外貌として、把握してゐなければならない。
――さうしてもつて始めて、それは君の孜々とした排他的な愛によつて宇宙の中心に置かれ、そしてその時こそ、その比類のない場所で天使どもに奉仕されるであらう。