何故かと云ひますと、生きることの不可能なことを殆ど證明するに了つたかに見えるこの本は、云はば、それに逆ひつつ、讀まれなければならぬからです。
若しこの本に苦い叱責が含まれてゐるとすれば、それは決して人生に對して向けられてはゐないのです、――反對に、それは我々が我々に運命づけられてゐる、此の世の無限の豐富を殆ど全部失つてしまふのは、無氣力、放心、因襲的な誤謬によつてに過ぎないと云ふことの、絶えざる證明であるのです。
私の親愛なる者よ、かかる精神をもつてこれ等の頁からはみ出してゐるものをお讀み下さい、――それはあなたの涙を惜しませぬでせう、が、それはあなたの涙に、より明るい、(そして云はば)透明な意義を與へるに足りるものでありませう。