羅馬の春の印象は概して芳しくなかつた。
といふのは、羅馬では、市中は巴里以上に雜沓して居り、しかも季節がきびしい冬から突然目くるめくばかり百花の咲き亂れる夏に交代してしまふからである。
徐々に變革する事を好む詩人、――あらゆる困難に打克つて花咲くために戰ひ拔いてきた最初の小さな花々をこそ愛する此の詩人には、それが何よりも堪へ難かつたと見える。
羅馬の春の印象は概して芳しくなかつた。
といふのは、羅馬では、市中は巴里以上に雜沓して居り、しかも季節がきびしい冬から突然目くるめくばかり百花の咲き亂れる夏に交代してしまふからである。
徐々に變革する事を好む詩人、――あらゆる困難に打克つて花咲くために戰ひ拔いてきた最初の小さな花々をこそ愛する此の詩人には、それが何よりも堪へ難かつたと見える。