だから、その事と思ひ出して悲しむ節はないけれど、自分ゆゑ死んだのだといふ事を考へるといかにも不便な氣がして、長い日ねもす思ひつづけて男はもの悲しさうになる。
――そのうつけたやうな男のおもはず洩らす溜息までが手にとるやうに聞えてくるやうな一段であります。
この一段は、古註によりますと、萬葉集卷十六の車持氏の娘子の戀夫君歌を採つて換骨脱胎して一篇の物語としたのであらうと言はれて居ります。
だから、その事と思ひ出して悲しむ節はないけれど、自分ゆゑ死んだのだといふ事を考へるといかにも不便な氣がして、長い日ねもす思ひつづけて男はもの悲しさうになる。
――そのうつけたやうな男のおもはず洩らす溜息までが手にとるやうに聞えてくるやうな一段であります。
この一段は、古註によりますと、萬葉集卷十六の車持氏の娘子の戀夫君歌を採つて換骨脱胎して一篇の物語としたのであらうと言はれて居ります。