はじめて音樂となつたといふ、かの傳説は空しいものであらうか。
(第一の悲歌)
リルケがその畢生の大作、「ドゥイノ悲歌」を歌ひはじめるにあたつて、先づ胸中に絶えずおもつてゐたことの一つは、音樂の始原は美青年リノスの突如とした死に對する人々の慟哭にあつたとする希臘人たちの考へと等しく、詩歌の發生もまたあらゆる神に似た夭折者たちを哭し、その魂を鎭めんがためであつたといふ考へではなかつたでありませうか。
はじめて音樂となつたといふ、かの傳説は空しいものであらうか。
(第一の悲歌)
リルケがその畢生の大作、「ドゥイノ悲歌」を歌ひはじめるにあたつて、先づ胸中に絶えずおもつてゐたことの一つは、音樂の始原は美青年リノスの突如とした死に對する人々の慟哭にあつたとする希臘人たちの考へと等しく、詩歌の發生もまたあらゆる神に似た夭折者たちを哭し、その魂を鎭めんがためであつたといふ考へではなかつたでありませうか。