――後年その囘想録のなかで、もう一人の詩人はそれからずつと後になつてはじめてそれが誰の部屋だつたかを知り、そしてそのやうに孤獨に堪へてゐた詩人が、そんな夜ふけの佗びしいランプの光を通して、だんだんさういふ孤獨の偉大さを解するやうになつてきた自分にどのやうに慰めを與へてくれてゐるだらうといふやうな事を書いてゐる。
「マルテの手記」はその冬巴里のその客舍で一氣に仕上げられたらしい。
それが上下二卷に分たれて、ライプチヒのインゼル書肆から上梓せられたのは、翌一九一〇年の春の事である。
――後年その囘想録のなかで、もう一人の詩人はそれからずつと後になつてはじめてそれが誰の部屋だつたかを知り、そしてそのやうに孤獨に堪へてゐた詩人が、そんな夜ふけの佗びしいランプの光を通して、だんだんさういふ孤獨の偉大さを解するやうになつてきた自分にどのやうに慰めを與へてくれてゐるだらうといふやうな事を書いてゐる。
「マルテの手記」はその冬巴里のその客舍で一氣に仕上げられたらしい。
それが上下二卷に分たれて、ライプチヒのインゼル書肆から上梓せられたのは、翌一九一〇年の春の事である。