ここ數年といふもの、私はおほく信濃の山村に滯在して、冬もそこで雪に埋れながら越すやうな事さへあつた。
それらの日々は、私のもつて生れたどうにもならぬ遙かなるものへの夢を、或は其處の山々に、或は牧場に、或はまた樺や樅などの木々から小さな雜草にまで寄せながら、自分で自分にきびしく課した人生を生きんと試みてゐた日々にほかならなかつた。
私は或晩秋の日々、そこで「かげろふの日記」を書いてゐた。
ここ數年といふもの、私はおほく信濃の山村に滯在して、冬もそこで雪に埋れながら越すやうな事さへあつた。
それらの日々は、私のもつて生れたどうにもならぬ遙かなるものへの夢を、或は其處の山々に、或は牧場に、或はまた樺や樅などの木々から小さな雜草にまで寄せながら、自分で自分にきびしく課した人生を生きんと試みてゐた日々にほかならなかつた。
私は或晩秋の日々、そこで「かげろふの日記」を書いてゐた。