この日記の作者は、少女の頃から、自分がそのやうな片田舍に生ひ育つた、なんの見よいところもない、平凡な女であることを反省しつつ、素直に人生にはひらうとする。
ただ彼女は既に物語を讀むことの愉しさだけは身にしみて覺えてゐて、京へ上るやうになつてからも、册子の類を殆ど手放さうとはしない。
就中、源氏物語を一揃へ手に入れることの出來たときなどは、几帳のうちに打臥したきり、晝は日もすがら、夜は目の覺めたるかぎり火を近くともして、それをばかり讀んで暮らしてゐるやうな熱心さであつた。
この日記の作者は、少女の頃から、自分がそのやうな片田舍に生ひ育つた、なんの見よいところもない、平凡な女であることを反省しつつ、素直に人生にはひらうとする。
ただ彼女は既に物語を讀むことの愉しさだけは身にしみて覺えてゐて、京へ上るやうになつてからも、册子の類を殆ど手放さうとはしない。
就中、源氏物語を一揃へ手に入れることの出來たときなどは、几帳のうちに打臥したきり、晝は日もすがら、夜は目の覺めたるかぎり火を近くともして、それをばかり讀んで暮らしてゐるやうな熱心さであつた。