宮仕へもしたが、それもただ内氣な彼女にはつらく思へただけで、「光る源氏ばかりの人はこの世におはしけりやは」と漸つとの事で知つた後、彼女はそのときはじめて「人がらもいとすくよかに世のつねならぬ人」に見えた奧ゆかしい同じ年頃の男に出會ふ。
それは冬のくらい、しぐれ模樣の夜であつた。
彼女は殿の戸口ちかくで、その男を相手に朋輩の女房と三人して、ときどき木の葉にしぐれの降りかかる音をききながら、世の中のあはれなる事どもをしみじみと物語りあふ。
宮仕へもしたが、それもただ内氣な彼女にはつらく思へただけで、「光る源氏ばかりの人はこの世におはしけりやは」と漸つとの事で知つた後、彼女はそのときはじめて「人がらもいとすくよかに世のつねならぬ人」に見えた奧ゆかしい同じ年頃の男に出會ふ。
それは冬のくらい、しぐれ模樣の夜であつた。
彼女は殿の戸口ちかくで、その男を相手に朋輩の女房と三人して、ときどき木の葉にしぐれの降りかかる音をききながら、世の中のあはれなる事どもをしみじみと物語りあふ。