信濃への少年の日からの私の愛着が、自分の作品の女主人公をしてそんな遠い山國で暮らしてゐる彼女の夫の身の上を氣づかはしめる事によつてのみ信濃といふものと彼女とを結びつけるだけでは何んとなく物足りなくなつて、知らず識らずの裡に私の筆をそのやうに運ばせて行つたものと見える。
が、もう一つ、それをさう改竄させた、ぬきさしならないやうな氣持ちも私にはいつか生じてゐたのだ。
それは私が自分の作品の題詞とした、古今集中の
信濃への少年の日からの私の愛着が、自分の作品の女主人公をしてそんな遠い山國で暮らしてゐる彼女の夫の身の上を氣づかはしめる事によつてのみ信濃といふものと彼女とを結びつけるだけでは何んとなく物足りなくなつて、知らず識らずの裡に私の筆をそのやうに運ばせて行つたものと見える。
が、もう一つ、それをさう改竄させた、ぬきさしならないやうな氣持ちも私にはいつか生じてゐたのだ。
それは私が自分の作品の題詞とした、古今集中の