去年の四月頃、或る用事があつて、はじめて私が南榎町のお家をお訪ねしましたら、何處かお體が惡くて寝ていらしつたらしい嘉村さんは、寢卷のまんま、玄關まで飛び出していらつしやいました。
そしてそれから今度は普段着に着換へられて、出直していらしつたが、しかし如何にもお元氣らしかつたので、私はついそのまま長居をしてしまひました。
その時は、何か原稿でもお書きになつたあとで、ただ何となく御休息されてゐたのだらうぐらゐに、私は自分にもよくそんなことがあるので、呑氣に考へてゐたのです。
去年の四月頃、或る用事があつて、はじめて私が南榎町のお家をお訪ねしましたら、何處かお體が惡くて寝ていらしつたらしい嘉村さんは、寢卷のまんま、玄關まで飛び出していらつしやいました。
そしてそれから今度は普段着に着換へられて、出直していらしつたが、しかし如何にもお元氣らしかつたので、私はついそのまま長居をしてしまひました。
その時は、何か原稿でもお書きになつたあとで、ただ何となく御休息されてゐたのだらうぐらゐに、私は自分にもよくそんなことがあるので、呑氣に考へてゐたのです。