ひどく凝つた檢印紙で、一枚々々丁寧に印を捺さなければならないやうな代物なので、やれやれと思つた。
その上、これまでの本には大抵それですませてゐた「辰雄」といふ無趣味な印ではすこし檢印紙の方がかはいさうな氣がするので、ふいと妻の亡父が所藏してゐた支那の古い印のことを思ひ出して、その中で私の好きな印を二つ三つ東京の家から送つて貰ふことにした。
そんなふとした思ひつきで、こんな支那の古い印などを使つてみたので、何もこれは私の新しい趣味なのではない。
ひどく凝つた檢印紙で、一枚々々丁寧に印を捺さなければならないやうな代物なので、やれやれと思つた。
その上、これまでの本には大抵それですませてゐた「辰雄」といふ無趣味な印ではすこし檢印紙の方がかはいさうな氣がするので、ふいと妻の亡父が所藏してゐた支那の古い印のことを思ひ出して、その中で私の好きな印を二つ三つ東京の家から送つて貰ふことにした。
そんなふとした思ひつきで、こんな支那の古い印などを使つてみたので、何もこれは私の新しい趣味なのではない。