それ以上に、いはば窮餘の一策である。
私は晩夏の一日の大半を、妻と一緒に、この印を捺すことに過ごした。
いつもなら味も素氣もなく捺してしまふことが多いが、こんどの本は一つ一つ丁寧に「琴」だとか「硯」だとかいふ文字なんかに氣を配りながら、捺したりしたせゐか、なんだか檢印なんといふ俗中の俗なる爲事を續けながら、しかもいささか俗氣を離れた半日を過ごしたやうな氣がした。
それ以上に、いはば窮餘の一策である。
私は晩夏の一日の大半を、妻と一緒に、この印を捺すことに過ごした。
いつもなら味も素氣もなく捺してしまふことが多いが、こんどの本は一つ一つ丁寧に「琴」だとか「硯」だとかいふ文字なんかに氣を配りながら、捺したりしたせゐか、なんだか檢印なんといふ俗中の俗なる爲事を續けながら、しかもいささか俗氣を離れた半日を過ごしたやうな氣がした。