明るいなりに、山は無氣味にしいんとしてゐた。
誰一人にも行き逢はず、私は小一時間もそんな山の中をだんだん心細くなりながら歩きまはつてゐたが、ときどき古代人の幻想したやうな木の葉をいつぱい浴びた死者のあはれ深い姿が、自分の裡に氣味わるいほどまざまざと蘇つて來てならなかつた。
漸く私は自分の行く手に大きな池の一部らしいものを認め、そつちへ近づいて行つて見ると、それが聖武天皇陵の近くの池であるらしい事を地圖で知り、自分の目標から大ぶ外れて來た事を認めたが、そこからはもう法蓮の村がすぐ近さうなので、半ばほつとした。