結局、實際に存在してゐるのだかゐないのだか分からないやうな黒髮山は見當さへつかず、只そのまはりをうろうろと歩いてゐただけだつた。
それでも、その山歩きは私には決して無駄ではなかつた。
私はその小一時間ちかく「萬葉的に」自分が死んでゐたと云へば云へるやうな、子供らしく微笑ましい想像から、その奈良に於ける最後の日をいまだに忘れがたく思つてゐる。
結局、實際に存在してゐるのだかゐないのだか分からないやうな黒髮山は見當さへつかず、只そのまはりをうろうろと歩いてゐただけだつた。
それでも、その山歩きは私には決して無駄ではなかつた。
私はその小一時間ちかく「萬葉的に」自分が死んでゐたと云へば云へるやうな、子供らしく微笑ましい想像から、その奈良に於ける最後の日をいまだに忘れがたく思つてゐる。