その十四年の夏もなんだか雨が多くて、ちやうど今年のやうな不順な陽氣であつた。
それでも私はよく芥川さんのお伴をして峠や近所の古驛などを見てまはつた。
ことにいま私のゐる追分宿などが、すつかり寂れ切つたなりに、昔の面影をそつくりそのまま殘してゐるので一番お氣に入られてゐたやうであつた。
その十四年の夏もなんだか雨が多くて、ちやうど今年のやうな不順な陽氣であつた。
それでも私はよく芥川さんのお伴をして峠や近所の古驛などを見てまはつた。
ことにいま私のゐる追分宿などが、すつかり寂れ切つたなりに、昔の面影をそつくりそのまま殘してゐるので一番お氣に入られてゐたやうであつた。