他の夕方、ロオド・チャンドスは胡桃の木の下に、植木屋の忘れていつた、半分水のはひつてゐる如露を見つけた。
――「その如露、その中にはひつてゐる、そして木の影がうす暗くしてゐる水、その水の面をすいすいと泳いでゐる一匹の兜蟲、――それらの意味のないものが、何か無窮の前に自分が立たせられてゐるかのやうな戰慄で充たし、自分を頭から足の先までぶるぶると震はせました。
そして自分は何かの言葉をわめき出したいと思つたほどでしたが、若し自分がひよつとしてそんな言葉を見出したとしたら、自分は自分の信じても居らぬ熾天使の奴さへ自分の前に跪づかせたでありませう。