――が、さういふ時くらゐ、淺間山が魅惑的に見えることはない。
日がぱあつと當つて、それがまだ何物をも温めてゐない、もうかなり肌寒いやうな朝など、起き拔けにふところ手をして山を見に出ると、そんな朝は淺間はきまつて雲ひとつない山肌を冷え冷えと見せてゐる。
その山肌一めんに日が赤あかとあたり出すのを眺めてゐると、山自身が見る間に淡い雲を湧き立たせ、ヴェイルのやうに漂はせ、だんだんそれが濃くなつていつて、しばらくする裡に自分自身を半分以上その雲のなかに隱してしまふ。
――が、さういふ時くらゐ、淺間山が魅惑的に見えることはない。
日がぱあつと當つて、それがまだ何物をも温めてゐない、もうかなり肌寒いやうな朝など、起き拔けにふところ手をして山を見に出ると、そんな朝は淺間はきまつて雲ひとつない山肌を冷え冷えと見せてゐる。
その山肌一めんに日が赤あかとあたり出すのを眺めてゐると、山自身が見る間に淡い雲を湧き立たせ、ヴェイルのやうに漂はせ、だんだんそれが濃くなつていつて、しばらくする裡に自分自身を半分以上その雲のなかに隱してしまふ。