――さういふ話を、私は數年前はじめて追分へ來て長い滯在をした秋に、宿の主人から聞いた。
丁度その前年の、同じ九月半ばのこと、――一週間ほど前から、關西の方からふらりと來た一人の滯在者があつた。
快活さうな男で、淺間山をはじめて見に來て、どうもかうも仕樣のないくらゐ好きになつて、毎日恍れ恍れと山許り見て暮らしてゐたやうだつたが、とうとう或朝、一人で山へ登つてくると云ひ出した。
――さういふ話を、私は數年前はじめて追分へ來て長い滯在をした秋に、宿の主人から聞いた。
丁度その前年の、同じ九月半ばのこと、――一週間ほど前から、關西の方からふらりと來た一人の滯在者があつた。
快活さうな男で、淺間山をはじめて見に來て、どうもかうも仕樣のないくらゐ好きになつて、毎日恍れ恍れと山許り見て暮らしてゐたやうだつたが、とうとう或朝、一人で山へ登つてくると云ひ出した。