寫眞機も一しよにあつた。
その寫眞をそのあとで現像してみると、まだ使つてない二三枚を除いては、みんな淺間の寫眞で、最後に撮つたやつには、初秋の、白い、さわやかな雲だけが映つてゐたといふ……
さういつた凄さを何處かその底にもつてゐる山だが、その淺間も、追分の供養塔などの立ち竝んだ村はづれ――北國街道と中山道との分か去れ――に立つて眞白な花ざかりの蕎麥畑などの彼方に眺めやつてゐると、いかにも穩かで、親しみ深く、毎日見慣れてゐる私の裡にまでそこはかとない旅情を生ぜしめる。
寫眞機も一しよにあつた。
その寫眞をそのあとで現像してみると、まだ使つてない二三枚を除いては、みんな淺間の寫眞で、最後に撮つたやつには、初秋の、白い、さわやかな雲だけが映つてゐたといふ……
さういつた凄さを何處かその底にもつてゐる山だが、その淺間も、追分の供養塔などの立ち竝んだ村はづれ――北國街道と中山道との分か去れ――に立つて眞白な花ざかりの蕎麥畑などの彼方に眺めやつてゐると、いかにも穩かで、親しみ深く、毎日見慣れてゐる私の裡にまでそこはかとない旅情を生ぜしめる。