「山羊の乳飮めるの、たいへん嬉しいです。
私、伊太利でよく飮みました。
大へん好きでしたが、――こちらへ歸つてきてから、まだ一度も飮みません……」すこしをかしな言葉遣ひで、しかしいかにもにこやかな口吻で、獨りごとのやうに云うてゐるのは、その長いこと伊太利で暮らしてゐたらしい老婦人であらう。
「山羊の乳飮めるの、たいへん嬉しいです。
私、伊太利でよく飮みました。
大へん好きでしたが、――こちらへ歸つてきてから、まだ一度も飮みません……」すこしをかしな言葉遣ひで、しかしいかにもにこやかな口吻で、獨りごとのやうに云うてゐるのは、その長いこと伊太利で暮らしてゐたらしい老婦人であらう。