さう云ふ缺點がキリコの古代のやうに靜かな繪の前だけに一層目立つて見えた。
眠りから醒めた瞬間、いま夢みてゐたばかりのごたごたした不確かな事物の間から、一つの像――たとへば一つの女の顏だけが、私の目にありありと殘つてゐる。
そしてその不思議な美しさが、私に、以前から彼女に對して抱いてゐる愛をその時はじめて氣づかせるやうなことがある。
さう云ふ缺點がキリコの古代のやうに靜かな繪の前だけに一層目立つて見えた。
眠りから醒めた瞬間、いま夢みてゐたばかりのごたごたした不確かな事物の間から、一つの像――たとへば一つの女の顏だけが、私の目にありありと殘つてゐる。
そしてその不思議な美しさが、私に、以前から彼女に對して抱いてゐる愛をその時はじめて氣づかせるやうなことがある。