……嘗つて聞いたり嗅いだりしたことのある或る音響とか、或る匂ひとかが、再び――現在と過去とに於いて同時に、實在はしなくとも現實的に、抽象的にならずに觀念的に――聞かれたり嗅がれたりするや否や、忽ち物體の永續的なそして平常は隱れてゐるところの原素が釋放される。
そして或る時はずつと前から死んでゐるごとくに見え、また他の時はさうでないごとくに見えてゐた、眞の自我が、彼に齎らされた天の糧を受けて、覺醒し、活氣づいてくる。
時間の秩序から飛び出した一分間が私にそれを感じさせるために私を時間の秩序から飛び出した人間に改造したのだつた。