まだ私が説明しないでゐる最後の二つの無意的記憶もやはり、彼がその小さな圖書室の中でかかることを考へめぐらしてゐる間に、彼を襲ふのだ。
水管の中で水が軋るやうな音を立てる。
夏の夕方に、バルベックの沖合で遊覽船の立てた長い叫びにそつくりなその音響が、さながら自分がバルベックに居るやうな思ひを彼に抱かせる。
まだ私が説明しないでゐる最後の二つの無意的記憶もやはり、彼がその小さな圖書室の中でかかることを考へめぐらしてゐる間に、彼を襲ふのだ。
水管の中で水が軋るやうな音を立てる。
夏の夕方に、バルベックの沖合で遊覽船の立てた長い叫びにそつくりなその音響が、さながら自分がバルベックに居るやうな思ひを彼に抱かせる。