が、ところどころ解し得た詩句からは何ともいへず清冽な光線が發せられてきて、それが依然として暗黒である前後の詩句の上をもかすかに明るませ、それがひよいと一瞬間解つたやうな、しかしまだ何となく腑に落ちないやうな氣もちに僕をさせる工合も、それもまたなかなか愉しいのである。
「リルケがヴォルプスヴェエデの繪かき村のなかで暮らしてゐる間に書いた日記の中には、後に彼の妻となつた女流彫刻家クララ・ウェストホフに對するばかりでなく、「ブロンドの閨秀畫家」パウラ・ベッカアに對する數多の仄めかしが見出される。
その後者に對しても、彼が非常に深い愛情をもつてゐたことは、疑ふことが出來ない。