その後、リヴィエェルとクロオデルの往復書翰も是非譯したいといつて、それは既に手をつけてゐたやうですが、とうとう完成されずにしまつたのは、返す返すも惜しい。
かういふ辻野君を措いては、他にさういふ特殊なものを手がける人もちよつと居ないでせうから。
モオリアックを譯して「作品」に載せるとき、何がいいだらうと僕も相談を受けましたが、僕はあいにく「テレエズ・デケエルウ」と「癩者への接吻」しか讀んでゐなかつたけれど、どちらにもひどく感心してゐたので、躊躇なくその二つのうちならどつちでもいいだらうと答へましたが、まあ「テレエズ・デケエルウ」の方がいいかなと思つてゐたところ、辻野君は「癩者への接吻」の方を撰びました。