去年の夏はK君の持つてきてゐたレムブラントの畫集を片つ端から自分の部屋へまで持つて來て樂しんだが、この夏もひとつその流儀でドラクロワを樂しんでやらうかと、蟲の好いことを考へてゐる。
こんなことを書いてゐたら、あの去年の夏ぢゆう見て暮らしたレムブラントのさまざまな繪がはつきりと心に蘇つてきた。
よく君たちが、隳の木蔭にねころんで喋舌り合つてゐた傍らに、僕だけ一人すこし離れて、やはり同じやうに寢ころびながら讀んでゐたモオリアックの「蝮のとぐろ」の幾つかの情景が、そのレムブラントの繪と混んがらかり合ひながら。