そんな森の中に、君に小さなヒュッテを建てて貰つて、「喬木林」や「晩夏」の中でボヘミヤ地方の美しい森を隅から隅まで描き盡したアダルベルト・シュティフテルのやうな物語でも書きながら、靜かな晩年(昔から僕は自分の晩年として三十七八になつた自分の姿を考へてゐるのだ、なんだかすこし氣が早いやうでをかしいけれど、さういふ空想をも僕は屡屡〻樂しむ……)を送りたいとそんなことを僕に空想させるやうな、美しい森が、何といつたつて、すこし奧深く行きさへすれば、まだまだ輕井澤にはあるやうだ。
さう、もうこのへんで筆を置いた方がよからう、詩集のお禮が、とんだものになつてしまつた。
下らないことをいい氣になつて書いてしまつたが、最後の森のなかのヒュッテの空想は、本當に偶然だが、いい思ひつきだつたな。