そしてその物語の最後の夏がきて「一人の老人がそれからなほしばしば影のやうにその森の中を過ぎるのが見られた。
しかし彼がいつごろまでゐたか、いつごろからもうゐなくなつたか、誰ひとりさだかには知らぬのである」と終る。
その最後を譯し終へられると共に、岩元先生は最後に私達をぎろりと見渡されてから、さすがに深く疲れたやうな樣子をなすつて教室を出てゆかれたが、そのときの先生のすこし猫背のうしろ姿はいつまでも私のうちに殘つてゐた……
そしてその物語の最後の夏がきて「一人の老人がそれからなほしばしば影のやうにその森の中を過ぎるのが見られた。
しかし彼がいつごろまでゐたか、いつごろからもうゐなくなつたか、誰ひとりさだかには知らぬのである」と終る。
その最後を譯し終へられると共に、岩元先生は最後に私達をぎろりと見渡されてから、さすがに深く疲れたやうな樣子をなすつて教室を出てゆかれたが、そのときの先生のすこし猫背のうしろ姿はいつまでも私のうちに殘つてゐた……