――私はそれから、午前の授業中のこととて、ひつそりとしてゐる南寮の傍を通り拔けながら、運動場の方へ行つて見た。
よくそこの芝生の斜面に寢ころんで、詩集などに讀みふけつたことのある私は、その芝生の上に、昔と同じやうな恰好をわざとしながら横になつて見た。
その頃、同級の者たちが「ジャン・クリストフ」だとか、べエトオヴェンだのばかりに夢中になつてゐるのにいささか反感を覺えながら、私の好んでゐたのはサマンやレニエなどの詩集であり、又、ショパンの音樂であつた。
――私はそれから、午前の授業中のこととて、ひつそりとしてゐる南寮の傍を通り拔けながら、運動場の方へ行つて見た。
よくそこの芝生の斜面に寢ころんで、詩集などに讀みふけつたことのある私は、その芝生の上に、昔と同じやうな恰好をわざとしながら横になつて見た。
その頃、同級の者たちが「ジャン・クリストフ」だとか、べエトオヴェンだのばかりに夢中になつてゐるのにいささか反感を覺えながら、私の好んでゐたのはサマンやレニエなどの詩集であり、又、ショパンの音樂であつた。