ずつと年上のやうな氣がされ、そして私はあたかも内氣な少年のやうに、彼等から何の理由もなしに輕蔑するやうな樣子をされはしないかと恐れながら、つとめて無關心さを裝ふべく、一所懸命に努力さへし出してゐた。
――いましがたまで私の耽つてゐた追憶が、知らず識らず私にかかる影響を與へてゐたのであらうか?
そしてそれは、數分後、新校舍のうす暗い廊下に五六人の生徒に取り圍まれて、一人の若い教授が、何か話しながら立つてゐるのを目に入れた瞬間、それが私に誰かを思ひ出せさうでゐて、すぐにそれが私の搜してゐた當の竹山道雄とは氣がつかない位であつた。