さういへば、芥川さんに「温泉だより」といふ短篇のあつたのを思ひ出したが、筋も何もかも忘れてしまつてゐるので、ちよつと讀み返して見た。
さうして私は、以前讀んだ時よりもずつと面白く讀んだ。
「獨鈷の湯」といふ共同風呂の、石槽の中にまる一晩沈んでゐた揚句、心臟麻痺を起して、とうとう自殺を果したといふ、六尺餘りの大男の、いかにもヒュモラスなうへに何處となく無氣味なところのある話に、私は或る特異な興味をさへ持ち出したのである。
さういへば、芥川さんに「温泉だより」といふ短篇のあつたのを思ひ出したが、筋も何もかも忘れてしまつてゐるので、ちよつと讀み返して見た。
さうして私は、以前讀んだ時よりもずつと面白く讀んだ。
「獨鈷の湯」といふ共同風呂の、石槽の中にまる一晩沈んでゐた揚句、心臟麻痺を起して、とうとう自殺を果したといふ、六尺餘りの大男の、いかにもヒュモラスなうへに何處となく無氣味なところのある話に、私は或る特異な興味をさへ持ち出したのである。