何だと思つたら、それは僕がこの間冗談半分に頼んでおいた僕の輕井澤の別莊の設計圖なのです(道造君は建築科の學生です)。
實は僕の方ではもう忘れかけてゐたのだけれど、この間、南輕井澤の方に土地をもつてゐる友人が、こんど自分のところでもそこに別莊を建てるんだが、よかつたら君もその側に、小さな小屋を建てないかと勸めてくれた。
食事一切はその友人の家で面倒を見て貰ふことにすれば、ただ仕事と睡眠だけのための場所、つまり、木のベッド一つと、木のテエブル一つとを入れるだけのコッテエヂ、――それにまあ窓が一つあればいい、そんな丸太小屋なら、せいぜい五十圓もあれば出來るんぢやないか、と側にゐた道造君を顧みて云つた。