――が、それもやうやつと、この夏の間に「若菜」二卷だけでもゆつくり讀み返すことにして置かうと、そんな情熱を抑へつけてゐるところへもつてきて、こんな文章を書かなければならない羽目になりました。
まあ、いま他にはちよつと思ひついた事がありませんので、その座談會で折口さんなどのお話をききながら、いろいろと考へさせられてゐた事でも少し書いて見ませう。
源氏物語五十四帖、――あの大きな物語では、僕なんぞのやうな初心者には光源氏を中心にした卷々よりも、薫の宇治の十帖の方がどうも入り易いし、親しみやすいやうに思はれるものです。