冬になるとよく病氣をしてゐたが、そのころはいかにも牧童なんぞになつたら似合ひさうな少年で、死んだ立原道造なども弟のやうにかはいがつてゐたものだ。
が、この少年、おとなしさうに見えて、なかなかの強情つぱりで、それには立原もよく手こずり、「このごろ野村君は、堀さんのいふことなら何んでもきくが、僕のいふことなんぞきいてくれなくなつた」と、さも不平さうにしてゐた。
いつまでももう野村少年でもあるまいが、――その野村はいつかフランシス・ジャムの詩を譯したり、自分でも詩を書いたりするやうになつた。
冬になるとよく病氣をしてゐたが、そのころはいかにも牧童なんぞになつたら似合ひさうな少年で、死んだ立原道造なども弟のやうにかはいがつてゐたものだ。
が、この少年、おとなしさうに見えて、なかなかの強情つぱりで、それには立原もよく手こずり、「このごろ野村君は、堀さんのいふことなら何んでもきくが、僕のいふことなんぞきいてくれなくなつた」と、さも不平さうにしてゐた。
いつまでももう野村少年でもあるまいが、――その野村はいつかフランシス・ジャムの詩を譯したり、自分でも詩を書いたりするやうになつた。