それから五つ六つの空いたテエブルを隔てて向うの壁ぎはに、いつも寂しさうに見える無口なロシア人の夫婦づれが一組と、銀色の髮をした可愛らしい顏のアメリカ人のお婆さんが一人と、それからその隣りに、おとなしさうな顏をしたアメリカ娘が一人と、――この最後の二人はよく隣同志で話し合つてゐたが、そのうち親密になつたと見えて何時の間にか一しよのテエブルで食事をとるやうになつた。
その可愛らしいお婆さんはもうとつくに七十を越してゐさうだが、こんな山の中にたつた一人で來てゐながら何時も大へん愉快さうにしてゐる。
私がそれを見てゐると何故か悲しくなるくらゐ始終にこにこと笑つてゐる。