――とにかく本場の佛蘭西人さへプルウストには手古摺つてゐるらしいので大いに僕も意を強くする。
數日前、僕は或る場未の古本屋からN・R・Fのジャック・リヴィエェル追悼號を十錢で掘出してきたが、その中にリヴィエェルが何處かでやつたプルウストに關する講演の原稿が載つてゐるので、早速讀んで見たが、リヴィエェルもやはり平素音樂的な文體が好きだつたので、プルウストの、「まるで引き伸ばして頁の隅々にピンで留めたやうな文體」には散々惱まされたことを告白してゐる。
後年あれほどのプルウスト贔屓になつたこの人までが、それなのだからね。