スワンだとか、アルベルティヌだとか、シャルリュスだとか、ヴェルデュランだとかが喋舌るとき、僕は、プルウストが喋舌るときの、喋舌らうとして唸るときの、腹の底から笑ふやうな、不確かな、引き伸ばされた聲を聽くやうな氣がする。
――さう言はれると、プルウストのそんな聲を知らない我々にも、その聲のアクセントの描く曲線は朧げながら辿れるやうな氣もしますけれど、さて、その微妙なところになりますと、我々外國人の耳にはなかなか掴みにくいのであります。
ことに飜譯などで讀む場合は、先程説明しましたやうな比喩の方はどうにか解るやうな氣もしますが、かういふ文章のリズムは全然解りつこないと斷言してもいいかと思ひます。