たとへば、モオリアックだな、その「テレェズ・デケルウ」と云ふのは、夫を毒殺しようとして未遂に終る女のことを書いてゐるのだ。
さういふ恐ろしい女主人公を、モオリアックは少しも憎まうとしてゐない。
それどころか非常に優しい愛情でもつて包んでやつてゐる、自分の慘めなことを知つてゐるこの女が好きで好きでたまらないやうなところが僕等にも感ぜられる、そしてさういつたものがこの小説の調子をリリカルなものにさへしてゐる位だ。
たとへば、モオリアックだな、その「テレェズ・デケルウ」と云ふのは、夫を毒殺しようとして未遂に終る女のことを書いてゐるのだ。
さういふ恐ろしい女主人公を、モオリアックは少しも憎まうとしてゐない。
それどころか非常に優しい愛情でもつて包んでやつてゐる、自分の慘めなことを知つてゐるこの女が好きで好きでたまらないやうなところが僕等にも感ぜられる、そしてさういつたものがこの小説の調子をリリカルなものにさへしてゐる位だ。