男にとっては、その一二年の月日はまたたく間に過ぎた。
しかしその間、男は一日も前の妻のことを忘れたことはなかった。
が、何かと宮仕が忙しかった上、あらたに通い出していた伊予の守の女の家で、懇ろに世話をせられていると、心のまめやかな男だっただけ、彼等を裏切らないためにも、男はつとめて前の妻のところからは遠ざかり、胸のうちでは気にかけながらも、音信さえ絶やしていた。
男にとっては、その一二年の月日はまたたく間に過ぎた。
しかしその間、男は一日も前の妻のことを忘れたことはなかった。
が、何かと宮仕が忙しかった上、あらたに通い出していた伊予の守の女の家で、懇ろに世話をせられていると、心のまめやかな男だっただけ、彼等を裏切らないためにも、男はつとめて前の妻のところからは遠ざかり、胸のうちでは気にかけながらも、音信さえ絶やしていた。