近江の国から、或郡司の息子が宿直のために京に上って来て、そのおばにあたる尼のもとに泊ることになったのは、ちょうど秋の末のことだった。
それから何日かの後、郡司の息子が異様に目を赫やかせながら言った。
「きのうの夕方、向うの壊れ残りの寝殿に焚きものを捜しに往きますと、西の対にちょうど夕日が一ぱいさし込んでいて、破れた簾ごしにまだ若そうな女のひとが一人、いかにも物思わしげに臥せっているのがくっきりと見えましたので、私はおどろいてその儘帰って来てしまいましたが、あれはどなたなのですか。
近江の国から、或郡司の息子が宿直のために京に上って来て、そのおばにあたる尼のもとに泊ることになったのは、ちょうど秋の末のことだった。
それから何日かの後、郡司の息子が異様に目を赫やかせながら言った。
「きのうの夕方、向うの壊れ残りの寝殿に焚きものを捜しに往きますと、西の対にちょうど夕日が一ぱいさし込んでいて、破れた簾ごしにまだ若そうな女のひとが一人、いかにも物思わしげに臥せっているのがくっきりと見えましたので、私はおどろいてその儘帰って来てしまいましたが、あれはどなたなのですか。