まだ二軒か三軒ぐらい、そんな別荘に外人の家族が居残っているらしく、空家かと思った中から人の暮らしの静かな物音がしたりする。
こうやって人けの絶えた外人部落をなんという事なしにぶらついていると、夏の盛り時は見ていずとも、何か知ら夏に於ける彼等の生活ぶりがそこいらへんからいきいきと蘇ってくる。
――人が住んでいようといまいと、いつもこんな具合に草が茫々と生えて、ヴェランダなど板が割れて、いまにも踏み抜きそうな位に、廃園らしい感じだが、そんな中から人々の笑い声がし、赤ん坊がハンモックに寝かされ、犬が走り、マアガレットが咲きみだれ、洗濯物が青いのや赤いのや白いのや綺麗にぶらさがっている。