なんだかきのうと同じ処を歩いているような感じだったが、ひょいと或る一軒の大きな別荘のなかへ迷い込んで、又引っ返そうとして、ふいと、その裏手の方を見ると、その裏木戸の上から白樺の木蔭になって「Green ……」という下手な横文字の看板の一部だけが見えていた。
なんだかちょっと洒落た店のようで、何だろうとおもって、その裏木戸に近づいてみると、白樺の木にかくれていた半分は「…… Grocery」――なあんだ八百屋だったのか。
だが、こんな家の裏手にぴょこんと八百屋が一軒あるきりなんて云うのはおかしいと思って、ずんずんその裏木戸を押しあけてみると、そこにはその八百屋をはじめ雑貨屋だの、理髪店だの、氷屋だのの看板を出した掘立小屋が一塊りに立っている。