――私は、恐らく殿なんぞにももう忘れられているかも知れないような、その不遇な少女を自分が引き取ってもいいような事を言うと、私にその話をした女房はすぐ伝手を求めて問い合わせて呉れたが、その日かげの花のように誰にも知られずにこっそりと大きくなった少女はもう十二三ぐらいになっているそうだった。
そんないたいけな子だけを相手に、その不為合せな御方は、志賀の東の麓に、近江の湖を前に見、志賀の山を後ろにした、寂しい里に、言いようもなく心細く明し暮らして入らっしゃるとかいう事だった。
その二人のお身の上をつぶさに聞けば聞くほど、何か私も身につまされて、そう云うお暮らしではさぞその御方もこの世に思いの残るような事ばかりであろうと思いやられるのだった。