撫子の方はまた撫子で、ようやく世の中と言うものが分かりかけて来た少女らしく、あれから何か私に気を置いて、つとめて顔をさえ見合わせないようにしている。
小さい心に過ぎていろいろ思っている事もあろうかと、いたいたしいような位。
――私はもうこのまま殿がいつお絶えになろうとも、自分自身は思い残すような事もあまりあるまいと思われたが、只、こうしていろいろな夢をいだいて私のところにやって来たでもあろう撫子がまあどんなに胸の潰れるような思いをする事だろうと、その事のみが気づかわれるのだった。
撫子の方はまた撫子で、ようやく世の中と言うものが分かりかけて来た少女らしく、あれから何か私に気を置いて、つとめて顔をさえ見合わせないようにしている。
小さい心に過ぎていろいろ思っている事もあろうかと、いたいたしいような位。
――私はもうこのまま殿がいつお絶えになろうとも、自分自身は思い残すような事もあまりあるまいと思われたが、只、こうしていろいろな夢をいだいて私のところにやって来たでもあろう撫子がまあどんなに胸の潰れるような思いをする事だろうと、その事のみが気づかわれるのだった。