もともと、ながらく途絶えていた此日記を再び何んと云うこともなしにこの頃附けはじめていたのは、前のように自分で自分を何んとかしなければならないと言った、切迫した気持なんぞからではなかった。
只、あれほど自分の事だけでぎりぎり一ぱいになっていた私が、こうしてあの方に棄てられた女の子を養うような余裕のある心もちにまでなり出したのが自分にも不思議な位で、それで筆をとり出したのだが、矢っ張、此日記を私に書かせたものは、あの方への、又、自分自身への一種の意地であったかも知れぬ。
しかし、そういう気もちもだんだん無くなりかかっている現在、その日記がこうして終るともなく終ろうとしているのも当然であるのだろう。