ここ数日、雲のたたずまいが険しく、雨が思い出したように降ったり歇んだりするような日が続いている。
この頃はよく明け方なんぞに時鳥が啼いているらしく、女房の一人が「ゆうべ聞いた」などと言うと、他の女房がすぐそれに応じて「けさも啼いていた」などと話し合っているが、人もあろうに、この私がまだこの夏は一度もそれを聞かないなんぞと言うのは羞かしいような気がする程。
――それほど、この頃はどう云うものか我にもなくぐっすりと寐てばかりいる自分をかえり見て、私は皆の前では何も言わずにいたけれど、心のうちではひそかに「自分はいくらぐっすり寐ていたって、本当に打ち解けて寐ているわけではないのだ。